2025.05.24 労務相談・就業規則

「人を大切にする経営」― “人本経営”とユニークな福利厚生制度

「人を大切にする経営」― “人本経営”とユニークな福利厚生制度

建設業許可の法改正や従業員雇用にまつわる労務情報等をお届けして参ります。

多くの中小企業が直面している絶対的人手不足、特に建設業界は非常事態といえるのではないでしょうか。
この会社に入って良かった、働き続けたいと思える企業文化とは?

今号では、「人本経営」について考えてみたいと思います。

企業文化の見直しと「人本経営」

「企業文化」とは、企業内で共有されている価値観、信念、習慣、行動様式、考え方などを指します。

企業様への訪問時やホームページを拝見した際に、良い企業文化を育まれているなと感じることがあります。何をもって“良い”と感ずるかは人それぞれの価値観に委ねられるところがありますが、やはり「人権」を尊重する会社、つまりは「人本経営」に取り組むことが企業を成長させるのではないかと考えます。

ユニークな福利厚生制度

●読みたい本はすべて企業が購入

ジャンルや業務との関連の有無を問わず支援。

専門書など「高いから購入しない」ということがなくなり、その結果、業務への好影響に繋がっているとのこと。また、「本の二毛作」と称し、社内で読み終えた本を社員が任意で寄付し、日本語を学ぶアジアの学生たちの勉強に役立てる仕組みにしているそう。

この取り組みを行っているのは、南富士株式会社という静岡県三島市に本社を置く建設関連企業です。現在の主要事業は、総合外装事業と、中国を中心とするアジアの国々の眠れる人財を発掘・育成する事業です。

同社では、「本の購入申込書を書くことは、まとめる力や余分なものを捨てる力を鍛えることができる」と購入段階から社員の育成に!と考え、この制度に取り組んでいます。

ご参考:南富士の福利厚生

●日本一長くて楽しい朝礼

「ワッショイ体操」や「ハッピー体操」、顧客からの感謝の手紙やエピソードの発表。

「ありがとう委員会」による社員同士の感謝の言葉の共有や「お客様自慢」と称し、担当者が素敵だと思うお客様のエピソードを紹介するコーナーなど、冗談を交えながら和気あいあいとした様子。

毎年多くの人が見学に来るユニークな朝礼を実施している企業は、沖縄教育出版株式会社(沖縄県)です。現在の主要事業は、健康食品、化粧品及び沖縄の特産品の企画、通信販売を行っています。

社憲は「I am OK! You are OK! We are OK!」

ご参考:株式会社沖縄教育出版

●「親孝行手当」「家族感謝手当」を支給

毎年4月に各々1万円ずつ支給。
使い道は自由だが、どのように使ったかを報告してもらう。

この制度を実践しているのは、株式会社タニサケ(岐阜県)という企業で、ゴキブリ殺虫剤やネズミ駆除剤などの製造・販売を行っています。看板商品の「ゴキブリキャップ(ごきぶりだんご)」は販売開始以来20年以上変わらず大人気商品。

社内報『タニサケ親孝行物語』『家族に感謝』に掲載されたエピソードは、「自宅の仏壇を掃除して、甘いものをお供えしました」「夫婦いつまでも健康であることを願ってウォーキングシューズをお揃いで買いました」など、心が温まるような内容が綴られています。

「親や家族への感謝の気持ちは、生きる上での基本となる考え方」と同社会長は語ります。

ご参考:株式会社タニサケ ー 気持ちのよい職場を目指して

おわりに

能率主義、効率優先が社会の風潮ですが、一見それらに反しているように思えるこうした福利厚生制度が、社員自ら考える力を育み、企業貢献を促しています。

その結果、生産性が向上し、企業利益の増加につながっています。

人本経営、あなどるなかれ!ですね。