2024.01.12 労務相談・就業規則

【2024年】建設業にまつわる法改正など

建設業許可の法改正や従業員雇用にまつわる労務情報等をお届けして参ります。

新たな一年が始まりました。本年もよろしくお願い致します。

さて、今年は建設業界にとって“2024年問題”として対応がいる残業時間の上限規制がいよいよ適用されます。これらを含む重要な法改正や新しい制度、取り組んでいくべき重要な課題についてまとめてみました。

2024年4月からの法改正

時間外労働の上限規制が適用

いよいよ本年4月より建設事業者においても残業時間の上限規制が適用されます。

原則月45時間・年360時間
特例臨時的な特別な事情があって労使が合意する場合(特別条項)でも、
以下を守らなければなりません。
❖時間外労働が年720時間以内
❖時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
❖時間外労働と休日労働の合計について、「2か月平均」「3か月平均」「4か月平均」
 「5か月平均」「6か月平均」のいずれにおいても80時間以内
❖時間外労働が月45時間を超えることができるのは、年6か月が限度
時間外労働の上限

《労働基準法の施行規則の改正》

従業員と労働契約を結ぶ際に、事業主が従業員に対し、契約期間、就業場所、労働時間や休日、賃金、退職などに関する事項を明示することが必要です。このルールの一部が改正されます。

  1. 無期雇用・有期雇用を問わず、労働契約の締結時や変更時に、「就業場所」「従事すべき業務内容(又は変更の範囲)」を労働条件通知書等で明示しなければなりません。
  2. 有期労働契約を締結する場合、「就業場所と業務の変更範囲」、「更新回数の上限の有無と内容」を明示しなければなりません。
  3. 有期労働契約が5年を超える場合、「無期転換の申し込みができること」と「無期転換後の労働条件」を明示しなければなりません。

在籍出向者の取扱いの緩和への取り組み

国土交通省は、監理技術者や主任技術者を親会社が雇用したまま子会社などに出向させる「在籍出向者」の取扱いを緩和する方向で検討しています。

在籍出向者の配置はこれまでも「企業集団制度」として親会社と連結子会社の間に限定し特例を認めてきました。この特例の範囲を「子会社同士」や「親会社と関連会社間」等へ拡大する方向を検討しているとのこと。

その他、現場技術者の担い手不足や働き方改革への対応策として、現場業務のバックオフィス支援などを適切に行えるような制度への見直しも併せて検討中である模様です。

建設業とハラスメント

建設現場で起こりやすいパワハラ事例、例えば…

  • 現場監督を軽んじるベテラン作業員!?
  • 昔気質の職人の「背中を見て覚えろ」
  • 気に入らない部下に仕事を与えない上司!?
  • 部下のミスに「辞めてしまえ!」の怒号!?
  • 地域の人もびっくり! 怒号が響く現場は苦情の元!?

こんなモラハラ事例も…

  • 匿名のSNSで誹謗中傷!?

まだまだ男性社会、これはセクハラ事例です…

  • 男性同士の下ネタ、女性はもちろん男性にも苦痛!?
  • 飲み会の精算、女性だけがお釣は時代錯誤!?
  • 「早く結婚しろ!」発言、悪気はなくても!?

これらはハラスメントと捉えられることが多い事例です。

 外国人労働者を含め多様な人が働く現代の建設現場では、これまでのやり方での指導がハラスメントになることがあります。

ハラスメント問題は経営トップが解決しなければならない重要な課題と捉え、年の初めに考える機会としてもらえれば幸いです。