2024.05.15 労働保険・社会保険

退職後の健康保険の選択肢について

建設業許可の法改正や従業員雇用にまつわる労務情報等をお届けして参ります。

日本では国民皆保険制度が導入されていることから、国民は何らかの公的医療保険制度に加入することになります。会社に勤務し、加入要件を満たしているときは、会社の社会保険に被保険者として加入しますが退職後はその被保険者資格を喪失することから、他の健康保険に加入する必要があります。

今回は、退職後の健康保険の選択肢について確認します。

退職後の3つの選択肢

 退職後の健康保険の選択肢は大きく分けて以下の3つがあります。

  1. 国民健康保険に加入する
  2. 家族の健康保険に加入する
  3. 健康保険の任意継続をする

 退職した従業員やその家族の状況によって加入できる制度が異なり、また、加入する制度によって負担する保険料の額に違いが出ます。

選択肢:①国民健康保険

原則として市区町村が保険者となっており、他の医療保険制度に加入しない人が加入する制度です。

保険料は、加入する世帯の人数や前年の所得などによって決まります。退職者の居住地の市区町村により保険料の算定方法が異なるため、一概に保険料額を示すことはできません。本制度の問合せおよび申請先は、退職者の居住地の市区町村役場です。

なお、倒産や解雇で退職した場合には、保険料が減免されることがあるため、加入するときには詳細を確認するとよいでしょう。

選択肢:②家族の健康保険(被扶養者)

家族が勤務先で社会保険に加入しており、その扶養の認定要件を満たしたときに、被扶養者として加入できる制度です。

 被扶養者のため、家族が負担する健康保険料は増えず、また、退職者本人の保険料負担もありません。保険料の負担の面から考えると、3 つの選択肢の中で一番メリットがあると言えます。

③健康保険の任意継続

在職中に加入していた健康保険に、任意継続被保険者として、引き続き加入する制度です。

 任意継続をするためには、退職日までに被保険者期間が継続して2ヶ月以上あり、退職日の翌日から20日以内に申出書を提出する必要があります。被扶養者であった家族も、認定を受けることで任意継続被保険者の被扶養者として加入できます。

 健康保険料は、在職時に従業員が負担していた健康保険料の2倍の額ですが、上限額が設けられています。

 なお、在職時の健康保険証はいったん、返却する必要があります。

おわりに

退職後、日を開けずに、再就職する人もいるでしょう。このようなときは、上記のような退職後の健康保険には移行せずに、退職前の会社が加入する健康保険から、再就職後の会社が加入する健康保険へと変わることになります。

なお、ここでは健康保険のみに焦点を当てましたが、退職者が20 歳以上60歳未満の時には、年金の切り替えも発生するので、健康保険とあわせて手続きを進めましょう。