建設業許可に関する法改正や建設事業者さまが関⼼や疑問をお持ちであろう従業員雇⽤にまつわる労務情報等を出来るだけ定期的にお届け出来るよう発信していきたいと思います。
今回は、社会保険料の原資となる「法定福利費」について!
建設産業において社会保険未加入問題の解決策の一つとして、「法定福利費」を見積に明示することを、国を挙げての推進がなされてきましたね。最新の状況を踏まえ、「法定福利費」について少し深堀りしてみる機会としてみて下さい。
見積書に明示する「法定福利費」とは?
見積書で内訳明示する法定福利費は、健康保険料(介護保険料を含む)、厚生年金保険料(自動手当拠出金を含む)、雇用保険料のうち、現場労働者の事業主(会社)負担分です。
法定福利費の基本的な算出方法
法定福利費 = 労務費総額 × 社会保険料率
法定福利費は、通常年間の賃金総額に各保険の保険料率を乗じて計算します。
しかし、各工事の見積では、労働者の年間賃金を把握することは不可能です。そのため、見積額に計上した『労務費』を賃金とみなして、それに各保険の保険料率を乗じて算出する方法が一般的です。
- 適用する保険料率
健康保険料率:協会けんぽのウェブサイト等
介護保険料率: 同 上
厚生年金保険料率:日本年金機構のウェブサイト等
雇用保険料率:厚生労働省のウェブサイト等(「建設の事業」の料率) - 適用除外者
個人事業主、一人親方などは「適用除外」とされ、法定福利費の内訳明示額に含めないものとする。 - 消費税の取扱い
法定福利費は消費税の課税対象 - 労務単価の構成
基本給相当額、基準手当、賞与等、通勤定期券
※対象とならないもの 退職金、結婚祝金等
法定福利費明示も 算出根拠が不明?!
近時、国交省が完工高1000億円未満の建設業者を対象とし、元下取引の実態を調査したところによると、元下間の請負契約で、9割超の見積書に法定福利費が書き込まれていた一方で、算出根拠が不明な見積りが多かったことが判明しており、この事態を踏まえ、「標準見積書」の使用の呼びかけが必要であるという結果が報告されています。
各専門工事業団体の「標準見積書」
左欄に基本的な法定福利費の算出方法を記載しましたが、各専門工事業団体において策定されている「標準見積書」には、各業界の取引実態を踏まえ、各社の実情に応じた法定福利費を簡便に算定できるような作成手順書が掲載されており参考になります。
下記のURLより各団体の書式をダウンロード出来ます。
この機会に改めて標準見積書を参照してみる機会にして頂ければと思います。
下記より「みょうが事務所通信」をダウンロード頂くことも可能です。