2025.02.03 建設業許可申請

「現場技術者の専任合理化」等、建設業法の一部を改正

「現場技術者の専任合理化」等、建設業法の一部を改正

建設業許可の法改正や従業員雇用にまつわる労務情報等をお届けして参ります。

昨年12月13日の建設業法改正は、深刻な人手不足にどう対処すべきか、「持続可能な建設業」の実現が目的です。特に注目すべき点は、監理技術者に課せられている義務について規制緩和が行われ、建設事業者の負担が軽減されたことです。以下、具体的な内容をいくつか取り上げていきたいと思います。

法改正の概要

「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律」が、令和6年6月14日に公布され、そのうち、技術者専任合理化等に関する以下の規定が令和6年12月13日に施行されました。

  • 価格転嫁協議の円滑化に関する通知ルール
  • 建設業者の処遇確保義務
  • 情報通信技術の活用に関する努力義務規定の創設
  • 監理技術者等の専任義務に係る合理化
  • 営業所技術者等の職務の特例
  • 公共工事における施行体制台帳の提出義務の合理化
  • 契約書の法定記載事項の追加

監理技術者等の現場兼任が可能に

工事現場に専任しなければならないとされている監理技術者等について、情報通信技術(ICT)などによって工事現場の状況の確認等ができる場合には、請負代金が1億円未満(建築一式工事は、2億円未満)の工事については2現場まで兼務可能になりました。 営業所技術者(専任技術者)等については、請負代金が1億円未満(建築一式工事は、2億円未満)の工事について1現場まで兼務可能になりました。

あわせて建設業法施行規則が改正され、専任の合理化を認める要件が整備されました。

  • 工事現場間の距離が、1日で巡回可能かつ移動時間がおおむね2時間以内
  • 当該建設業者が注文者となった下請契約から数えて、下請次数が3を超えていないこと
  • 監理技術者等との連絡その他必要な措置を講ずる者(土木一式工事又は建築一式工事の場合は、実務経験を1年以上有する者)を現場に配置していること

つまりは、適切に情報通信技術を取り入れることで遠隔での施工管理が実現できるということです。

具体的に京都府建設交通部ホームページでは、次のように記載されています。

主任技術者又は監理技術者が、当該工事現場以外の場所から当該工事現場の状況を確認するために必要な映像及び音声の送受信が可能な情報通信機器(遠隔の現場との必要な情報のやりとりを確実に実施できるものであればよいため一般的なスマートフォンやタブレット端末、WEB会議システムでも差し支えない。)が設置され、かつ当該機器を用いた通信を利用することが可能な環境が確保されていること。

出典:京都府建設交通部「建設工事と技術者の配置について」  https://www.pref.kyoto.jp/nyusatu/nyukeiseido/documents/posting_engineer_on_construction_sights_202502.pdf

契約書の法定記載事項が追加に

建設工事の請負契約書には、建設業法第19条第1項において絶対に記載しなければならない事項が定められています。

以下は、変更となった条文です(建設業法第19条第1項第8号)。

「価格等の変更又は変更に基づく工事内容の変更又は請負代金の額の変更及びその額の算定方法に関する定め」

 これまでは、物価高騰や賃金上昇等による請負代金の額又は工事内容の変更について記載されていれば良かったのですが、今回の改正によって、その請負代金の額の変更に関する算定方法に関する定めの記載が必要となりました。

この機会に技術者の現場配置状況や請負契約書のフォームを見直されてみてはいかがでしょうか!