建設業許可の法改正や従業員雇⽤にまつわる労務情報等をお届けして参ります。
出退勤時に制服や作業服に着替える時間、出張中の移動時間、従業員の⾃発的な残業など…。
「はて?!これらは労働時間に含まれるの?」
使⽤者として悩ましく、つい先送りにしてしまってはいませんか!
これらの状況について、未払い賃⾦の発⽣リスクを防ぐ適切な打刻ルールの決め⽅について考えます。
未払い賃⾦の発⽣リスク
労働時間とは、「労働者が使⽤者の指揮命令下に置かれている時間」を指します。
この判断は次の2つの要素に分けることができます。
- 業務と同視できる程度に業務に必要な⾏為かどうか
- 会社の指揮命令下にある時間かどうか
この判断は、就業規則等によって定めるものではなく、事実に即して客観的に⾏われるものです。
判断が難しい事案
準備・⽚付けの時間は︖
業務に不可⽋であり、業務と隣接した場所で⾏われる準備・⽚付けの時間は、多くの場合、労働時間に含まれます。
出張中の移動時間など「中抜け」の時間は︖
移動時間中は、多くの場合、業務指⽰から解放されていることから労働時間として取り扱わないとされます。
ただし、移動中であっても常に業務指⽰に対応しなければいけない状態におかれている場合には、注意が必要です。
休憩時間、⼿待ち時間は︖
休憩時間は、原則労働時間に含まれません。
ただし、休憩中も緊急の連絡に応じなければならない場合や客先での待機時間など、労働者が⾃由に休憩時間を活⽤することが出来ない場合などは注意を要します。
研修時間や会社の⾏事は︖
参加が義務付けられているかどうかが判断のポイントとなります。
業務との関連性があり、上司からの直接の指⽰や、参加しなかった場合に評価に影響する、というようなものは労働時間に含まれると解されます。
タイムカードの打刻ルールの決め⽅
ステップ①「打刻ルールの洗い出し」
就業ルールを具体的にイメージし、曖昧なケースを洗い出してみます。
ステップ②「打刻ルールの明⽂化、社内周知」
従業員からのフィードバックの機会を設けることが重要です。
⽇々、従業員からの質問を通じて労使双⽅が理解を共有していきます。その上で、具体的な打刻タイミングを設け、社内に周知します。
ステップ③「打刻システムの選定」
現在、GPSシステムを利⽤して外出時の打刻の確認が⾏えるシステムや顔認証技術を活⽤した打刻システムなど、様々な製品があります。
貴社の特性に合ったものを選びましょう。
働き⼿が減少するなか、働き⽅への関⼼が⾼まり、SNS 等情報の拡散⼒が⾼い現在では、労務管理を適切に⾏っていくことが企業価値に繋がります。
未払い賃⾦の発⽣リスクを踏まえるとともに、今⼀度適切な勤怠管理を⾏うことの重要性を考える機会として頂ければと思います。