建設業許可の法改正や従業員雇⽤にまつわる労務情報等を出来るだけ定期にお届けいたします。
さて今回は、建設事業における人手不足対策の一環として注目度を増す「外国人の雇用」について。
令和4年末の在留外国人数は約307万人と過去最高を更新し、初めて300万人を超えました!
企業が外国人を雇用するときに知っておきたい基礎知識についてまとめてみました。
在留資格(就労系)とは?
「在留資格」は外国人が日本で適法に滞在するための法的な地位を指します。
そのうち代表的な就労系の在留資格には、
- 高度人材としての在留資格(技術・人文知識・国際業務)
- 特定活動
- 特定技能(1号・2号)
- 技能実習(1号・2号・3号)
等があります。
最近の動向として、国際貢献の名目で外国人の人材育成を行ってきた「技能実習制度」を廃止し、「新たな制度」を創設することが政府内で提言されているとの報道がありました。
国籍別でみる在留者
在留者を国籍別でみると、中国(約76万人)、ベトナム(約49万人)、韓国(約41万人)が上位3国となっており、フィリピン、ブラジル、ネパール、インドネシア、米国、台湾、タイと続きます。
参考資料:
出入国在留管理庁 .❝令和4年末現在における在留外国人数について❞.2023.3.24
年金の「社会保障協定」って何?
外国人が日本で働く、又は日本人が海外で働く場合、自国と他国で二重に社会保険料を負担しなければならない事態が生じます。
また、日本や海外の年金を受け取るためには、一定の期間その国の年金に加入しなければならない場合があるため、その国で負担した年金保険料が年金受給につながらないことがあります。
以上を踏まえ、以下2点を目的として締結しています。
- 二重加入の防止
⇒「保険料の二重負担」を防止するために加入すべき制度を二国間で調整する - 年金加入期間の通算
⇒年金受給資格を確保するために、両国の年金制度への加入期間を通算することにより、年金受給のために必要とされる加入期間の要件を満たしやすくする
参考資料:
日本年金機構.❝社会保障協定❞
「社会保障協定」の発行状況
社会保障協定の発効状況は、日本は23カ国と協定を署名済、22カ国は発効済です。
日本年金機構のウェブサイトにて、協定相手国ごとの情報を確認することも出来ます。
参考資料:
日本年金機構.❝社会保障協定❞
帰国したときの「脱退一時金」
日本国籍を持っていない外国人労働者が、日本で働いている期間に納めた年金保険料の一部を返金してもらうものが「脱退一時金」です。
日本から帰国して2年以内に手続きをすることで返金してもらうことができます。
その他、保険料を支払った期間が6月以上あること等の要件があります。
「脱退一時金」の請求における注意点
脱退一時金を受け取ると、それまでのすべての期間が年金加入期間でなくなります。
【注意点】
- 2017年8月の法改正により、日本の老齢年金の受給資格期間が25年から10年に短縮されました。
- 在留資格「特定技能1号・2号」の制度が今後拡充されていくと予想されます。「特定技能」は、廃止を検討されている「技能実習」の上位資格にあたり、今後、日本で技能向上した外国人材が「特定技能1号・2号」へ移行し、在留期間が長くなることが予想されます。
こういった要因から、将来的に、在留外国人が日本の老齢年金を受け取る可能性も高くなってきています。
雇用者側もそれに合わせ、情報確保が必要な時代が到来しましたね!
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